Fred Jacksonに学ぶ、ペンタトニック1本の「説得力」

ジャズの解析を続けていると、複雑なコードトーンや代理コードに目が行きがちです。しかし、ソウル・ジャズの名手フレッド・ジャクソンのプレイを聴くと、大切なのは「音数」ではなく「節回し」であることを痛感させられます。

今回は彼の名盤『Dippin’ in the bag』から、0:45付近の「Dマイナー・ペンタトニック」だけで構成された、極めてシンプルなフレーズを解析します。

目次

譜面解析:Dマイナー・ペンタトニックの隣接移動


D(Root)、F(b3)、G(4)、A(5)、C(b7)の5音のみ。パーカーのような跳躍も、ハミルトンのようなクロマチックな解決もほとんど使わず、「スケールの隣の音へ移動するだけ」という潔さだが、しぶさがあるフレーズです。

なぜこのフレーズが「しぶい」のか?

「隣の音へ動くだけ」なのに、なぜこれほどまでにカッコいいのでしょうか。

  • 「歌」としての自然な流れ: 人間が歌いやすいのは、跳躍が少なく、階段を一段ずつ上り下りするようなメロディです。フレッド・ジャクソンのこのフレーズは、まさに「歌」そのもの。聴き手の耳にスッと馴染みます。
  • リズムのアクセント: 音がシンプルな分、8分音符の並べ方や、休符の入れ方が際立ちます。「何を吹くか」ではなく「どこで休むか」で、しぶいグルーヴを生み出しています。

シンプルこそが最大の洗練

フレッド・ジャクソンの耳コピを通じて、アドリブにおける「目的地」は、必ずしも難しい音である必要はないと再認識しました。

Dから始まり、隣の音へ、またその隣へ。 そのシンプルなステップが、豊かな歌心を生む。

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